Loveletters from UltimaThule

極北からの本と映画の備忘録

スミレの花を見るたびにエド・ゲインを思い出す

おお、あこがれのプレイン・フィールド

目にもうるわしきかの緑地

 

 嘘。行ったことがないから本当に緑地かどうかなんてわかんない。でも、ずっとずっと前からプレイン・フィールドはあこがれの土地。行ってもなにもないのはわかっている。そんなことはどうでもいいのだ。

 プレイン・フィールドがあこがれの土地になったのは、『殺人マニア宣言』の「エド・ゲインのハート」を読んでからだ。なぜそこに行きたいのか、完全に心の奥を見透かされ言い当てられてしまって、ぞくぞくした。曝けだすことのできない、闇の部分を覗かれてしまった感じ。テキストに嬲られている気さえする。それはいまも変わらない。

 そして、スミレの花をみるたびに、エド・ゲインを思い出すようになったのはこの本のせいなのだった(なぜなのか知りたい人はさがして読みましょう)。

 

「墓の前に膝をつく。明るい昼下がり。エドが残した傷跡はどこにも見えない。もちろん見えなくて当然だ。そんなものは実際にはありはしない。傷があるのは心の中である。プレインフィールドの住人たちの中の。こんなところまで来てしまう人間の。」 (「エド・ゲインのハート」より )

 

 

殺人マニア宣言 (ちくま文庫)

殺人マニア宣言 (ちくま文庫)