Loveletters from UltimaThule

極北からの本と映画の備忘録

雪の日に

目が覚めたら雪だった。曇天のもと、うっすらと白銀色に光る世界の美しさに見とれる。小さい頃から雪で浄化された空気を吸い込むと、透明になれそうな気がしている。窓をあけて冷たい綺麗な空気を身体の隅々までゆきわたるように、静かに息を吸い込む。そうなれたためしはないのだけれど、そうしてみたくなる魔力が雪の朝の空気にはある。降り続ける結晶の美しさをいつまでもみつめていたくなる。時間の観念がなくなる。スノウドウムの中にいるような、閉じられた世界の心地よさ。雪は昼には雨になり、夕方にはすっかり溶けた。今朝は寒かったね、雪だったね、暖めてあげればよかったね、と夜に手をつなぎながら言葉を交わし、本の話をし、映画を見に行く約束をする。