Loveletters from UltimaThule

極北からの本と映画の備忘録

たわいないはなし

雪の日に

目が覚めたら雪だった。曇天のもと、うっすらと白銀色に光る世界の美しさに見とれる。小さい頃から雪で浄化された空気を吸い込むと、透明になれそうな気がしている。窓をあけて冷たい綺麗な空気を身体の隅々までゆきわたるように、静かに息を吸い込む。そう…

耀ける月

「月が綺麗ですね」means I love you。今夜も空を見上げれば立ちすくんでしまうほどに月が耀いてます。暗闇にひそむ魔を打ち払うかのような、すがすがしいまでの純銀の光。愛しているというかわりにではなく、ただ月が美しいというだけで嬉しくなって、その…

レリス『アフリカの日々』

――と或る書店にて 「レリスの『幻のアフリカ』が平凡社ライブラリーから出てる! ヤバい!」 「あ! これ、憑依儀礼についての記述で有名だから読みたいなと思っていたんですよね」 「オナニーのことばっかり書いてあるよね」 「……!?(ますます読まねば!…

ゴス少女

ゴス少女は八割方、文学少女だと言われた。そうか、そうだったのか。

名前について 自分の名前にずっとなじめなかった。嫌いというか、その名前が自分を指し示す音と記号であることにぴんときていなかった。自分の顔に対しても同じ感覚があった。自分が顔を持っていること自体に違和感があった。鏡を見ても自分の顔とは思えない…