瞬間を殺す
かみさまというものを探しみいだし、そう名付け、呼びかけたいと思っていた。でも、かみさまって、もしかしたら、あとで気づくものなのかもしれない。たとえば、つないだ手をそっと離したあとで、そのさしだされていた手のぬくもりに気づくような。そう気づいたそのあとで、そう思った瞬間を殺す。その瞬間がとても好きだから、瞬間を永遠の楔につながないように。その瞬間が腐敗しないように。また手をつないだあとにそう思えるように。瞬間は瞬間のままに。時間を食べて生き続けている、でも、わたしが生きているのはこの一瞬だけでしかないのだから。